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〝文学少女〟と死にたがりの道化 感想

 やっと文学少女シリーズを全部読み終えました(といってもバカテスなどのコラボまでは読めていませんが…)。
 なので、少しずつ感想を上げられたらと思います。
 今回は文学少女シリーズの第一作、野村美月著「〝文学少女〟と死にたがりの道化(ピエロ)」の感想です。

 文学少女1


 ネタばれを含むので、追記よりどうぞ。

 あらすじは、元天才少女作家の井上心葉くんと、物語を食べちゃうくらい愛する文学少女、天野遠子の2人だけが部員の文芸部に、恋の悩みを携えた竹田千愛がやってきます。
 ただの恋文を代筆するだけのはずだったのに、心葉くん、そして天野遠子の文芸部は、人間の心が分からないお化けの嘆きの物語に巻き込まれていくことに。

 イラストは竹岡美穂と言う方。水彩的な色調が柔らかくて素敵。ふわっとした遠子の雰囲気が伝わってきます。
 目次のはむはむ三題噺を食べている遠子がかわいい。

 文学少女シリーズは、全作品を通して物語の端々に何者か分からない一人の人物の語り(実際は手紙やノートに綴られた文字なのですが)が入ってきます。
 第一作の死にたがりの道化では、端々にある嘆きと絶望は、修二のものではないかと読者は錯覚させられます。しかし実はその語りの正体は…。

 一作目の〝語り〟の正体に驚いた人は、二作目の〝語り〟は一体誰なんだろうと楽しみながら見ちゃいますね。

 人の心が分からない、人が愛する者を愛せない、人が悲しいと思う心が分からない。自分は人間じゃない。
 かつてそう葛藤していたのは、心葉くんが通う高校の弓道部だった片岡修二。彼の遺書には「人間失格」の内容を引用した言葉が綴られていました。

 太宰治の「人間失格」は遠子が言うように、暗い時に読むとすっごく落ち込んじゃう作品らしいです。
 まだ自分は全体を読んでないので、これを機に元ネタの文学作品は読んでみようかな、と考えています。
 ちなみに今は五作目の元ネタ「銀河鉄道の夜」が家にあったのでそれをちびちび読んでいます。注釈が非常に多い。
 と、話は戻りますが、道化を演じていた、人の心が分からないと物語の端々で語っていた人物は、実は片岡修二ではなく、竹田千愛でした。
 人懐っこい笑顔をいつもしていて、だれからも好かれるような子であった千愛は、実は片岡修二のように、人の心が分からず、いつもそのことに苦悩していた道化でした。
 
 かつて、自分の親友が目の前で交通事故に遭い、亡くなったときも、悲しいと少しも思えなかった。
 
 自分が世間とは異なる異常な存在だと千愛は感じ、笑顔を貼り付けた道化を演じる裏では常に絶望に駆られていたんですね。
 でも、普通の人から考えてみたら、彼女の感じる絶望は、どうして感じられるものか理解できません。事実、心葉くんも、異常であるとは感じています。
 だけど、自分が思っていることは、世間一般には全く受け入れられないもので、自分の考えを肯定してくれる人が皆無だとして――その世界にいることは、これ以上ない絶望なんだと思います。
 彼女の感じる絶望に比べたら、些細なことではあるのかもしれませんが、「仲間外れの孤独」と言うものは、世の中の誰でも一度は感じて、とても苦しいものであると思います。

 親友を死なせてしまったことの罪悪感から死ぬんじゃない。親友の死に、悲しむことのできない自分が恥ずかしくて死ぬのだと、屋上で心葉くんに叫ぶ千愛。
 こんな台詞をはきだすのに、彼女の心はどれだけの絶望を味わったんだろう…と。

 結果的には心葉くんや、遠子の言葉が千愛の心を動かし、彼女は2人の手をつかんで死ぬことをやめます。けれど、死ぬことが怖かったとは一度も言わないんですよね…。

 普通、こういう自殺をしようとした子って、死ぬ直前にやっぱり怖いとか、死にたくないという、心の中で感じていた本当の言葉を言うものですけど、竹田千愛は最後までそんな言葉は言いません。そのことに、彼女は本当に死にたがりの道化だったんだなあ、と思わせられました。

 片岡修二を死に追いやった、添田さんや理保子さんは、彼に対する罪悪と、その苦しみを抱えたままの地獄で生きることになり、竹田千愛は道化の仮面を被ったまま再び日常に戻る…。
 
 物語はハッピーエンドとは言い難い、かなりビターな感じですけど、それでも終わりは結構スッキリしています。

 主となった話は竹田千愛と言う道化の物語ですが、物語の筋は、人の覗いてはいけない心の内側に悩み苦しむ心葉くんと、彼を導く文学少女、遠子の話です。

 シリアスな場面は読んでいて苦しくなるような、もうそれこそ作中での心葉くんのように、呼吸困難になりそうなくらい引き込まれる作品ですが、心葉くんと遠子の織りなすコメディの描写はとても軽くて面白いので、全体的には読みやすい作品だと思います。個人的には、今まで読んだ中で、一番面白いライトノベルだと思います。

 漫画感想以上に拙い感想になりましたが、気になった方は、是非購読してみて欲しい作品です。
 
 小説が苦手な方は、この作品と二作目はコミカライズされているので、そっちを見てみるのもいいですよー。
 
 二作目の感想も、そのうちあげたいなー、と思います。

 

 
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テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

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Re: 代弁

竹田千愛のことでしょうか。それとも、彼女に共感したあなた自身の言葉でしょうか。
いずれにせよ、仮にネタでは無くあなたが本気でこのような質問をしているのでしたら、それはこんな放置されたブログ等ではなく、近場のメンタルクリニックで診断を受けることをオススメします。
乱暴な言い方ですが、それが一番だと思います。
ただ、どうやって『生きて行けばいい』と言うことに関してですが、それはこれまであなたが生きて来たように、ただ同じように生きればいいと私個人は考えます。
竹田千愛も、道化の仮面が剥がされても、再びその仮面を被り生き続けることを決めました。あなたも同じように、羊の仮面を被り続けて生きればいいと思います。
それでもあなたの中にある衝動が抑えられないと言うのであれば、それが爆発する前に、どこかで吐き出してしまわれるのがいいでしょう。
繰り返しますが、ネタでこのようなコメントをされているのでしたら、それは安心です。
ですがもし本気でこのようなことを思っているのでしたら、どうかあなたが満足の行く結果が得られることを望みます。
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